2008年ボジョレーヌーボー [ワイン]
師走にボジョレーの話でもないけど、なぜ、日本があんなにヌーボーに騒いでいるかというと、日付変更線の関係上、もっとも早く解禁日が来るのが日本だから、現地より早くボジョレーを楽しめる、ということらしい。そもそもボジョレーヌーボーは「マセラシオン・カルボニック法」という醸造方法でつくられている。これは、普通のワインは徐梗破砕機でブドウを破砕してタンクに入れるのだが、この方法は、摘んだ房のままのブドウをタンクに入れて、発酵中は果汁と果皮、種などを接触させておくのである。したがって、タンク上部の重みで発酵が進み、熱が発生、発酵が促進される。要するに、くず野菜を重ねてつくる堆肥を作るようなものなんだろうね。このため、早くワインが出来上がるそうだ。
しかし、この醸造方法はなにもボジョレーに限ったものではなく、フランスのどこの地方でもやっている醸造法。ただし、発酵が早いので、単体で飲むなんてことはせず、あくまで、他のワインと調合してアサンブラージュ(調合)用に作っている。それだけだとやっぱり薄いし、コクがないんだって。。フランスのラングドックの新酒解禁はボジョレーヌーボーより1ヶ月早い10月第3週の木曜。ここでもたくさんのワイナリーがその年最初に摘んだぶどうでつくる新酒(PRIMUER)を出すそうです。そして、その1ヵ月後に解禁になるのがボジョレーヌーボー。ここはガメイ種というブドウ品種単体で作る。この特色ある伝統行事を日本のメーカーが「時差の早い日本で本家よりも早く解禁になる」ことをうたって仕掛けたんでしょう。フランスでも、日本でボジョレーヌーボー祭りやってるということは結構みんな知ってて、「なんでぇ?」ってカンジで不思議がってるそうだ。。
まぁそんなことはおいといて、ことしのボジョレーヌーボーを飲んでみたんだけど、12月に抜栓したからなのかわからないが、私飲んだボジョレーは酸味が強く残念ながら、期待はずれ。昨年同じメーカーのものでは結構おいしい印象だったんだけど。。そこで、他の地方、南仏ラングドック地方のプリムール(新酒)を買って飲んでみた。
ボジョレーヌーボーよりも安いが、これはマセラシオンカルボニックではなく、初摘みのぶどうを通常どおり破砕機にかけ、新酒として発酵させてつくったワイン。シラー種の新酒というが、新酒とは思えぬコクがあり、ボジョレーヌーボーより格段にうまかった。やっぱり「南仏の新酒(プリムール)」より「ボジョレーヌーボー」のほうが、ネーミングからしてカッコイイいいから、日本に輸入しても売れないのかな。残念。ぜひ来年試してほしい。
行きつけの酒屋、マルシェの店長AKIさんが飲んだ今年のボジョレーヌーボーはおいしかった、と言っていたが、こういう製法の醸造酒はメーカーや輸入状況によって品質もばらつきがあると思う。それにそれなりに品質がいいヌーボーはプリムール(新酒)などの他のワインとアサンブラージュ(調合)してるんじゃないだろうか。ガメイ種だけのぶどうを早期発酵させたワインがそんなにありがたがるもんでもないし、うまきゃ誰も文句いわないし、「偽装」ヌーボーとかいわないだろう。。とにかく日本のボジョレーヌーボー騒ぎはフランスの一地方の「どぶろく」新酒まつり、を日本でやってるようなものなのだ。
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シャトー・ランガラン・プリムール2008 2200円
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